- スーダン紅海沿岸での植林に向けたマングローブの植栽試験
(2012/7/4-2012/7/18、スーダン)
マングローブ植林行動計画(Actmang)代表 須田清治
はじめに
スーダンでのマングローブ(在来種であるヒルギダマシ)の植栽技術の開発のために、ACTMANG(2名)と紅海大学海洋学部(4名)で構成されたマングローブ植林班は、次の活動をおこなった。これまでの成果は、潮間帯での鉢苗の育苗に(おそらく)はじめて成功したこと。次のステップである苗の移植技術の開発については、まだ着手したばかりである。自生林の観察で驚いたことは、夏季の海水面の低下により外海から孤立した塩田のような池のなかに林分が成立していたこと。その池の塩分濃度は10%を大きく超えていた。その環境でもマングローブが枯れていなかったことから、地下の塩分濃度は海水の塩分濃度である4%に近いと想像している。
(1) 育苗技術の開発
前述のように、昨年12月からの育苗試験の結果、紅海大学の海洋学部裏の池(波の影響がない潮間帯)で鉢苗の育苗に成功した。しかし別な場所では、夏季の海水面の低下により、苗床設置場所の干潟が干上がり失敗した。次の結実期である秋から春に、ポートスーダンの港の奥の入江で、紅海大学メンバーによって新たな育苗試験が設定される。
(2)移植技術の開発
海洋学部で育苗された苗木、自生林から掘り上げられた山引苗の2種類を用いて、7月からポートスーダンの港の奥の入江など2カ所で移植試験がスタートした。植栽地盤高は低い側から高い側。植栽時期は、①平均海面が低い夏、②中程度の秋、③高い冬頃の計3回となる。植栽時期が3回となるのは、平均海面の急激な変化を想定したものであり、気温の変化を考慮したものではない。紅海大学メンバーによる毎月のモニタリングにより、来年には基礎的なデータが得られると期待している。
(3) 植林候補地の選定
日本側によるグーグルアース衛星画像の分析から、海岸線に沿って北から南まで植林候補地を選んだ。次のステップは、地上からの現地調査(干潟の広がり、土壌の厚さ)と、そこでの試験植栽となる。