- 紅海沿岸に生育するヒルギダマシの更新過程の調査
(2012/2/24-3/21)
岡山大学大学院環境学研究科・吉森 一道
私たちの研究は、紅海沿岸のヒルギダマシについて林分内での世代交代と発達による林分の維持機構を明らかにすることを目的としている。これまでの紅海沿岸各地での観察において、現地に生育するヒルギダマシの繁殖様式には種子由来の実生繁殖と匍匐枝由来の栄養繁殖の2種類が確認されている。粗密な林分や比較的樹高の低い個体で構成される若い林分では実生繁殖がよくみられるが栄養繁殖はほとんどみられない。一方樹高が高く複数の幹をもつ個体から成る老齢の林分ではしばしば栄養繁殖の形跡がみられる。このように林分の発達状況により個体の繁殖様式が変化し、それが更新の過程に影響しているのかもしれない。そこで今回はスーダン紅海沿岸ポートスーダンのキラナイブ(N19°30'19.1", E37°16'50.1")にあるヒルギダマシ林において各種測定(個体位置・個体サイズ)およびDNA試料採取を実施した。調査は紅海大学海洋学部の技術者や研究員らと協力して進められた。今後個体間の遺伝的関連を林分内の個体位置・サイズとの関係より解明し、林分の更新過程について考察する。
(図 1) キラナイブの林分の衛星画像(Google Earthより)
ラクダによる被食や伐採など人為的かく乱がほとんどみられない、ほとんど天然の状態にある林分を調査対象とした。20×50m調査区(赤枠)を設置し、調査区内に生育する個体の位置の測定とDNA試料採取を実施した。また、調査区の10×30m方形内の個体について個体サイズ(地際直径、樹高、樹冠面積)を測定した。
(写真2)調査区外の木の枝葉を食べるラクダ (写真3)昼食 |
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▲写真2 | ▲写真3 |