- スーダン及びサウジアラビア紅海沿岸での植林に向けたマングローブの基礎調査
(2011/12/14-2112/1/20・スーダン共和国及びサウジアラビア王国)
マングローブ植林行動計画・研究員・須田清治
はじめに
スーダン紅海大学海洋学部、サウジアラビア野生生物局と、両国の紅海沿岸域において植林に向けたマングローブの基礎調査を実施した。一昨年のエジプト(南部)、昨年のスーダン(ポートスーダン以北)に続き、3度目の現地調査となる。なお、須田は現地調査に初めて参加した。
活動の内容
具体的にはポートスーダン以南とサウジアラビア西岸のマングローブ分布域で、植林適地条件を確認するために、自生林の生育状態とその環境(塩分濃度、地盤高、水位、土壌の厚み。ラクダ放牧、エビ養殖池や塩田などの開発の影響)などを、可能な範囲で観察した。
また、スーダンでは育苗技術がまだ確立されていないために、①紅海大学キャンパス内の汽水池と、②ポートスーダン森林局苗床のある干潟で育苗の予備試験を設定した(写真参照)。他方、サウジアラビアではすでに育苗技術があるので試験は予定されていない。
調査の成果
森林局の育苗方法では、頻繁に灌水する必要がある。他方、当方が目指している潮間帯苗床では自然の潮汐により冠水されるので管理手間が軽減され、かつ、播種時から海水で育てられるので移植時の苗木の活着率が高いと予想している。その潮間帯苗床の導入が本現地調査によってはじまった。その後の現地からの報告では、1月には予備試験で種子が発芽をはじめ、3月には海洋学部によりポートスーダン市内の入り江で本試験がはじまった。それらの過程により育苗技術が開発されることを期待している。なお、参考のために新たな知見を記しておく。
・マングローブの枯死要因として、洪水の影響がある(写真参照)。
・紅海沿岸にはビーチロックと呼ばれる岩盤が存在しているところが多いが、土壌がほとんどないように思える岩だらけの環境でもマングローブが自生する。
今後の課題
スーダンでの育苗と移植(植栽する時期と地盤高)の技術開発が当面の課題となる。また、スーダンで絶滅が危惧されているマングローブであるオオバヒルギの植林技術の開発も非常に重要となろう。さらなる課題は、サウジアラビアではコーズウェイ(埋め立て道路)により破壊された自生林、両国とも洪水によって枯れた自生林の修復技術の開発となろう。
▲写真1 |
▲写真2 |
▲写真3 |
(写真2)森林局苗床わきの干潟での苗床の予備試験(スーダン) (写真3)洪水のあとに枯れたマングローブ(サウジアラビア) |