- スーダンにおける現地調査報告
(2010/11/7~11/13)
独)農業環境技術研究所・上席研究員・藤井義晴
11月9日(火)
スーダン大学植物保護部・バービカル教授研究室で、助教2名大学院生3名に対しアレロパシー生物検定法(サンドイッチ法、ディッシュパック法、根圏土壌法を指導。出張者が持参した器具を用いて実習してもらった。午後、バービカル教授とメスキートに関する研究打ち合わせ。修士課程のMs. Afaf Ahmed Abd Elmegeed(スーダン科学技術省国立研究センター植物保護部雑草専門研究員)の研究で、メスキート生育土壌で後作の生育不良(アルファルファ、トマト、メスキート)現象に関する研究打合せ。メスキート生育土壌には後作物の生育を阻害する強い活性が見られた(写真1)。出張者が日本で栽培したメスキートの根圏土壌法検定結果でも、強い阻害活性が検出されたことを説明。
11月10日(水)
ハルツームの郊外のソバ(SOBA)にあるスーダン大学林業と植物資源学部訪問。出張者は、アレロパシーに関する研究成果を報告。午後、学部長のアブデルアジズ博士と面談。スーダン在来種Acacia tertilis, Acacia ehrenbergianaとメスキートの混在林での在来種の芽生の生育不良現象とメスキート林への遷移におけるアレロパシーの関与について討議。スーダン側のメスキートプロジェクトの一つである炭作りプロジェクトを訪問。日本の研究で、炭がアスパラガスのアレロパシー軽減効果に有効であることを紹介し、今後の被害軽減への利用法を提案した。午後、スーダン大学水利工学と砂漠化防止学部訪問。メスキート林とその周辺の植生調査を実施。種子供給元と思われるフェンス際のメスキートを調査。種子が大量に落下していた(写真2)。5ヶ月前にはなかった周辺の畑にメスキートが侵入し、大群落を形成していた。
11月11日(木)
スーダン大学農学部へ。ソルガム畑周辺の雑草調査。匍匐生の雑草Trienthium pentandra、スベリヒユPortulaca oleraceae, 野生化したカウピー、トウダイグサ科のClatrapids pocera など6種の雑草を調査した。午後農学部長と会見。その後、JICAのストライガプロジェクトの実験室訪問。バービカル教授研究室で大学院生 Ms Amira Omer Elbadawiの研究を指導。蔓性寄生雑草サララSalalaのアレロパシーについて議論した。
11月12日(金)
バービカル教授の助教他に生物検定測定法を指導(9日に開始した検定の結果を測定)。
今回の調査の結果、アレロパシーの強い植物を数種見出した。
成果の一部は、12月21日の国際会議(京都・地球研)において発表する予定。
▲写真1 |
▲写真2 |